『罠々』特別座談会 第二弾



『罠々』特別座談会 第二弾
刻一刻とお披露目の日が近づいてきた、悪い芝居最新作『罠々』。
稽古も佳境に入る中、初日に向けての出演者座談会を決行!
第二弾は、苦楽を共にしてきた悪い芝居旧メンバーたちに、照れ合いながら語ってもらった。
本作『罠々』にかける、新たなる覚悟とその思いを、共に抱きしめてもらいたい。


渡邊 よろしくお願いしまーす

一同 よろしくお願いしまーす

畑中 さっさといきましょう。

植田 さっさと、パッパといきましょう!

中西 はーい。

北岸 じゃあまず最初の議題なんですけど、

一同 (笑)

畑中 お前かい(笑)

植田 ぎっしー仕切りなん?

渡邊 悪い芝居公演vol.19『罠々』どうですか?

植田 そうですね、3回連続でバンドものやってきまして、

畑中 そうね。

植田 楽器がなくなりまして。

北岸 はい。

植田 舞台が広いっすね。

畑中 ドラムがね、ドラムエリアとか考えずにね。

長南 確かに、広い印象がありますね。入団して僕は『メロメロたち』、『キスインヘル』出て、素舞台に近い状態でやれるってのは初めてで、すごい、楽しいなと思っています。

植田 何が楽しいの?

長南 自分の体一つで、何かの表現物に変わるっていう、具体的じゃないところに自分が具体性を持ち込めるってのは楽しいなと。

渡邊 華ちゃんは、どうですか?

畑中 そうですね、悪い芝居の過去公演でいうと『カナヅチ女、夜泳ぐ』であったりとか、『マボロシ兄妹』であったりとか、役者みんながアンサンブルにも舞台美術にもなって、そういうのがすごい久しぶりやから、なんかとっても楽しい、私も。

渡邊 うん。

畑中 なんか、今自分誰だろうとかをずーっと考えながら、どの目なんだろうとかを思いながらずっとやっておる、なう。

渡邊 ギッシ―は?

北岸 僕はまぁ、めんどくさいなと思いながら…。

植田 おい!!!

中西 えええ!!

渡邊 じゃあ柚貴ちゃんは?

北岸 おいっ! 広げる、広げーる。ほんまにそれでしかなくなるやろがっ!

植田 めんどくさいん?

北岸 いやいや、今華ちゃんが言うたみたいな演出なんで、僕は出番が終わったら楽屋に戻るとか、そういうのも好きなんですよ、正直。モニターからお客さんを見てるとか好きなんですけど、今回は逃げられない。

植田 お!

北岸 その中でどういるかっていうことを考えられるのが、久々におもしろいってのもありますし、やっぱりその分、集中力も必要になりますから、切らしたらほんまに死んじゃう舞台だな、と。

渡邊 うんうん。

北岸 これはなかなか大変な舞台やなと思って、どこにサボれる隙があるんだろうと。(笑)

植田 それがめんどくさいと?

北岸 あははは(笑)

中西 私は、なんやろ、みんなで作り上げる空気感が、なんか、ぎゅっ!って、

植田 ぎゅっ?

中西 濃縮サプリみたいな。わかります?

植田 サプリ?

畑中 サプリ?

中西 にんにく、なんだっけ?

植田 あるね、一粒で。

北岸 にんにく卵黄みたいな?

中西 そうそう、にんにく卵黄みたいな感じでなんか、ぎゅって濃縮されているお芝居だなと。

畑中 悪い芝居の濃縮サプリ。

中西 悪い芝居の濃縮サプリかな? お芝居として濃い感じ。

渡邊 濃縮だけでいいんじゃない?

北岸 うん。サプリ要素はなにもない

中西 濃縮って言ったら、ついてきちゃった。

北岸 柚貴ちゃん、サプリって何?

中西 サプリ忘れて(笑)

渡邊 植ちゃんはどうですか?

植田 俺?

北岸 気になりますねぇ! 植田さんですからね、やっぱり悪い芝居で山崎さんの次に長いですからねぇ。

中西 気になるなー、最年長やもんなー。

北岸 長老様ですからねぇ。

植田 割と今のところは『メロメロたち』と同じ気分。舞台上にいる時の心情的なものが割と近くて。やってることは全然違うのに、面白いなぁと思ってやってます。

渡邊 今回、新メンバーが入りまして、新メンバーがいる今回ってどう? 洸生とか新たに下が出来て。

長南 なんかすごい周りから、僕、変わったって言われ…、

渡邊 誰が!?

畑中 洸生が?

北岸 周りって誰?

長南 ここらへん。

北岸 言ってない!!

植田 言ったこと一回もないわ!

渡邊 誰が、変わった?

長南 …僕が。

渡邊 変わってないよ、全然。

長南 あれ?気のせいやった?

渡邊 柚貴ちゃん的には?

中西 私は多分、先輩とか後輩とか関係なく、なんかすごい一緒に考えれる人が増えてよかった。

渡邊 考えてくれるよね、みんなね。

中西 うん。

畑中 なんか前のめりでいつもいてくれるっていうか。

渡邊 そうだね。植ちゃん的には?

植田 荷物が増えたなぁ、と思っています

渡邊 背負ってるってことかな?

植田 荷物って、悪い言い方やけど、一緒に頑張ろうっていう人が増えたことは嬉しくもある反面、全員頑張ってやらんとただ多いだけの劇団になっちゃうから、そこは俺らも覚悟入れて頑張っていかなあかんなと。

渡邊 なるほど。悪い芝居の今後はどうなっていくんでしょうかね?

北岸 わかりません!

渡邊 はい!

畑中 あはは。

渡邊 どうなっていきたい?

一同 んー

中西 なんだろ、個人個人の力がもっともっとゴーって上がってきて、今やってる芝居もだけど、なんかすごいなんやろ、なんやろ。濃い芝居見たなって言う…、

渡邊 また濃縮サプリか。

中西 サプリじゃないサプリじゃない! やっぱ濃い芝居を作っていきたいなって思う。楽しくふざけながらも。新しい人が入ったことによって、いろんな、いろいろが出てくるじゃないですか。

畑中 出てくるね。

中西 だからもっとグチャグチャグチャって、笑けたり、苦しくなったりする芝居が作れるんじゃないかなって思います、今後とも。

植田 俺は、やっぱ芝居だから、芝居じゃないと伝わらない表現みたいなものはずっと大事にしていけたらいいなって思ってる。小説だから出来る表現ってある。映画だから出来る表現ってある。芝居でもさ、たまにこれ映画でいいよねって思う芝居があったりするやん。それはそれでお客さんも入ってたりするし成功はしてるんだけど、悪い芝居はやっぱり、これ芝居じゃないもので表現しようとしても無理やなってなるようなことが出来ていき続けられたら、悪い芝居やなぁって感じるかな。

渡邊 じゃあ『罠々』の見どころは?

植田 俺。

北岸 僕。

中西 私。

北岸 &you!

北岸以外 ………ん?

渡邊 あ、じゃあ見どころはこの3人で

植田・中西・北岸 あはは(笑)

畑中 3人てことでいいんじゃない?

渡邊 じゃあ華ちゃんは見どころではない?

畑中 そうですね。

渡邊 そうですねじゃないよ。

一同 (笑)

畑中 でも、メンバー募集で、関わりたいって言って来て下さったスタッフさんで、メンバーになるわけじゃないんやけど、映像スタッフさんていうのが来てくださって。松澤さんという方がね。悪い芝居初めての映像演出ですか。それはね、非常に楽しみ。なんかね、劇場に入ってみんとわからんところがあって。

中西 うん。

植田 あれは楽しみですね。すでに稽古中、こうしてみようかって言うのを聞いてたら、マジか、どうなるんやろうなって。

渡邊 ほんとにもうわかんないよね。

畑中 それに加えて、これまで通り音響の塁さんも、照明の加藤さんも、衣装の植田さんも、美術の竹内さんも、ずっとね何公演もやってきたスタッフさんっていうのも、また遊んできよるから。

渡邊 そうなんだよ。

植田 スタッフワークも見どころやとすごい思います。

畑中 ほんとに思いますわ。

北岸 素舞台っていうふうになってますけどね、確実に素舞台じゃないよ。

長南 そうですね!

中西 それはそう!

植田 素舞台ではない。

畑中 素舞台ではないね。

北岸 盛りすぎじゃない?って。逆に盛りすぎじゃない?って、空っぽやから余計際立つと思う。

渡邊 確かに。

北岸 その中で我々がどう生きるかっていうのは、ちょっと今心配ではありますね。現段階では。埋もれてしまうんじゃないかなと。

畑中 負けへんぞっていう気持ちやな(笑)

渡邊 戦いだね。

北岸 戦いですね。

渡邊 今回、山崎彬が書いた新作はどんなイメージ?

植田 本?

畑中 脚本についてか。

渡邊 過去3公演バンド物を経ての物語とかを感じてどう?

中西 初めて読んだ時とかは「この人たちどんな人なんやろう」っていうワクワクとか「このあとどうなるんやろう」っていうワクワクが、読み進めていったらなんか「えっ!」ってなる驚きに変わって、ゾっとするけど面白いみたいなところかいいなあって。

渡邊 近作と比べての違いとかってある?

長南 僕はなんか、触って欲しくないところにやたら触られなっていう感じがします。

渡邊 どういうこと?

長南 出てくる人たちが変だし、なんやねんコイツらって思われるかもしれないけど、でもどこかで、それ知ってるなみたいな、感じたことあるなみたいな、共感することがちょっと怖いなって。

中西 確かに。共感することで苦しくなりそう。

畑中 うん。

長南 共感したくなかった、触りたくなかったのに触ってしまった、みたいな。その人にとって開けて欲しくない扉を開けるような、触られたくないところをすごい触っているようなそんな感じがします。今までもそれはすごい感じたんですけど、音楽がポップにしてくれてた部分があって。曲と一緒に立ち向かえるみたいな。でも今回は、より濃くエグミとして出てるんじゃないのかなと、過去の出演作品と比べて出ているように僕は思います。

畑中 ま、疲れそうやね。悪い芝居の芝居って疲れるってよく言われますけど、今回はもう「あぁぁぁぁ」ってなりそう。

植田 最近の作品とはね、違う疲れ方をするやろね。

渡邊 客演さんはどうですか?

畑中 おもしろい。

長南 あんちゅはまた違う感じ。

渡邊 あんちゅ全然違うよね。

畑中 なんか剥けた感じ。全然違う面がね。

中西 力強い。

植田 あんちゅの持つ生命力みたいなものをすごい感じる。

長南 すごい感じます!

渡邊 緒方さんは生命力ないってこと?

植田 おっさんやしな。

中西 あるある! 緒方さんもめっちゃある! 生命力はめっちゃある!

畑中 緒方さんって、なんて言うか、空気を演じる役者さんだなと。今回一緒に座組みとしてやる前に客席で緒方さんを見てたときに、すごい空気を演じる俳優さんだなと思っていて、稽古場でもやっぱりそうで、なんと言うか嘘がつけない人で。

植田 俺は芝居してるときと普通にしているときの境界を感じなくて。

畑中 わかります。

植田 あ、なんかしゃべりださはったな、って思ったら「本読んではったんか!」ってなるときがあって。だから空気を演じるってのもそういうことなんかなぁと思う。

渡邊 ぎっしーは? 客演さん二人?

北岸 いやもう言うてるとおり。

渡邊 寝てた?

全員 (笑)

北岸 無駄に音声増やさんようにしてたんや!

全員 (笑)

北岸 でも、ほんまにその通りやから。あんちゅは生命力の強さ、これは『メロメロたち』のときもやっぱり力強いっていうのはありましたし、今回もやっぱり生きる力にあふれていますし。緒方さんは、植田さんが言ってはったみたいに日常と演技の境界線がわからないっていうことなんかなって思った。スーパーナチュラルな人やなと。

渡邊 柚貴ちゃんは? 『メロメロたち』では、相方だったけど。

中西 あんちゅ?

渡邊 うん。

中西 『メロメロたち』のときは、すごい好きなもの好きって言って、その他は結構ずーんっていうか、生命力あるけど蓋してるような役やったけど、今回はずっと生きてる! っていう感じがすごい。

渡邊 凄く愛せるし、愛される役だから、どうなっちゃうんだろうね。

植田 実は今日、前半通し、した後すぐなんですけど。

渡邊 はい。

植田 最後にりょうくんとね、ポロって言ってたけど、50分経ったて聞いて、50分も経ってたんか、と思った。

畑中・中西 うん。

植田 それを山崎さんに「それはいい意味? 悪い意味?」て聞かれて。内容は50分どころじゃなかった。ただ体感は30分くらいだったって答えて。それってすごい濃度やん。30分で、実際は50分で、で、50分以上のものが与えられている。これが、もちろん本番ではよりもっとすごいものをもっていかなあかんから、もっと頑張らんとね。

中西 うん。

植田 安心をしているわけではないんやけど、通しが面白かったから本番も大丈夫だって安心はしてられへんけど、これもっともっとええもの持って行けたらお客さんは、劇場で一日過ごしたみたいな、ひとつ人生を生きたみたいな、みたいなところまで行ける筈だなと思った、

渡邊 シワだらけになったり、白髪が増えたり。

植田 黒髪で入ってきた人が白髪でよぼよぼで出て行くような。

渡邊 …それだと、誰も来ないね。(笑)

全員 (笑)

畑中 山崎さんが稽古序盤に言ってたけど、

渡邊 うん。

畑中 千秋楽の日まで自分の役が何ものなのかっていうのはずっと考え続けんと作品に負ける。

植田 作品に負けるって感覚わかるなぁ。

渡邊 強いね。

畑中 うん。強い。手強ぇ。

渡邊 じゃあ皆さん、せーのでお客さんにメッセージを。

畑中 せーので?(笑)

中西 せーので?

北岸 せーの!

全員 ―――――――――!!!
罠々 予約フォーム



特設ページへ戻る