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九木儚(文目ゆかり)は自分がしんでることをしらない。夫である九木大(牧田哲也)は、そのことを妻にしらせることなく、二人は幸せに暮らしている。大の元には、印波情介(植田順平)と具見咲美(香月ハル)が毎朝訪れ、儚を天国に送ることを勧めてくるが、大は断り続けている。
逆井祈子(潮みか)は、恋人の自殺を手伝った罪で、数年間服役していた。出所後、祈子はかつて働いていた「おこのみピーチロード」に顔を出す。やたら元気な店主の寝顔桃道(井上メテオ)と、祈子がいない間に働くようになった二死野わずか(関口きらら)のいる店には、最近無言電話が幾度となくかかってくるようになったという。偶然電話に出た祈子の耳に聴こえてきたのは、死んだはずの恋人・蚊又念(内田健司)の声だった。
恥毬鼓動(粟根まこと)は、大学生の竜巻平人(東直輝)と絵喪原聖(南岡萌愛)の依頼で講演会を開いていた。講演内容は、約30年前のハートブレイクウイルス感染症のパンデミックの際に結成したグループ「DIE LOVE YOU.」での活動について。
「DIE LOVE YOU.」とは、失政を繰り返す政府へのデモ活動や不安にかられる人々へ歌や笑いを届ける無観客フェスを開くなど、様々な活動を通じて時代の寵児となったグループであった。メンバーには傘盗善太郎(キムアス)や愛野乱痴気(山崎彬)らがいた。そして、恥毬と同じく、グループの中心人物として存在していたのが儚だった。
いきることしぬことあいすること。そのはじまりと果てと途中について描く、ないものねだりたちの愛しい物語。