山崎彬より東京公演初日をおえて


 どうも山崎彬です。皆さん、お元気ですか?

 4月22日水曜日。今頃もうひとつの世界線では、悪い芝居新作本公演『トキメキメイクライトアンリアル』東京公演の初日が終わり、みなホッと一息つきながら家路を目指す電車に揺られている頃でしょうか。

 しかしながら皆さんもご存じの通り、僕らの世界線での公演は延期を見据えた中止となり、4月2日をもって座組は一旦解散、あれから20日あまりの時間が経ちました。ここまで、公演関係者からの感染および何かしらの症状が出たという報告はありません。まだまだ予断を許さない状況ですが、ひとまず稽古期間の予防はうまくいったこと、ここでお知らせしておきます。よかったです。

 この20日間の悪い芝居はというと、4月4日から始まったYouTube毎日配信を皮切りに、4月10日には払い戻しのお知らせと「悪いけど、これからも芝居させてください支援」のお願いをしました。そして今日、もうひとつお伝えすることがあります。

 それは、まだ日程は発表していなかったのですが、5月2日に予定していた悪い芝居月イチイベント「5月もなんかおもろそう」の延期です。緊急事態宣言に伴い、予定していた会場での開催が難しくなり、このような決断になりました。

 このお知らせに対して「今は仕方ない」というのが正直な感想だと思います。でもね、僕は思うんです。「開催できなくて申し訳ない!!」「ああ!!非常に残念だよ!!」って、こういう関係をね、ちゃんと保ってたいなって。「今は仕方ない」は確かにそうなんです、そうなんですけれども「残念!!!」ってちゃんとお客さんも僕たちも一緒になって思っていたいんです。そう思うことがなくなって延期や中止が当たり前になっていくのはイヤです。なので「開催できなくて申し訳ない!」って言うので「ああ! 非常に残念だよ!!」って思ってもらえたらうれしいです。

 不安の中、お仕事に行かなくちゃいけない方々、また医療関係の皆さんには本当に頭が下がる思いなのですが、僕はというと、現場関係がなくなりリモートでいけるものだけが残り、この20日間の中で仕事でのやむを得ない外出は1日だけでした。それも広い会議室で距離をとっての打ち合わせが一件。あとはオンラインでの打ち合わせかメールや電話のやり取りだけ。外出も、これほんとにガチで、運動不足解消の散歩と食材を求めての買い出しが5日に一回あるだけで、ずっと家の中で仕事と仕事以外(あつ森とか)をして過ごしました。もはや、釣った魚をたぬき商店で売って島を発展させるのが今の自分の仕事なんじゃないかと錯覚してしまうほどです。

 で、これは昨日のことです。

 スーパー行ったらね、たまたま人が多い時間に当たってね、「こわい」って思ってスーパーから出ちゃったんですね。「こわいこわいこわい」って思って引き返したんですね。だけど、引き返した道を歩きながら「なんだこれは」って言葉が口から出たんです。なんかその自分がすっごいイヤだったんですね。人一倍、家で過ごして、毎日食べるものもかえて、健やかに朗らかに過ごしてきました。だけど、今できる快適なおうち生活を自分なりに作っていく中で、その反動なのか、人ごみを見ただけで「こわいこわいこわい」って思っちゃう感覚が生まれはじめてることがイヤだったんです。

 でね、こんなこと正直に言っちゃうとめちゃくちゃ叩かれるかもしれないですけど、でも言いますけど、そんな気持ちで引き返す道すがら、餃子の王将があったんです。覗いたら一人もお客さんがいなかったんで僕、入ったんです。スーパーかコンビニかスギ薬局以外でお店に入るのはいつぶりでしょうか。スーパーこわいって思いを残したまま帰るのは「これはいかん」って思って、餃子の王将に入って炒飯と餃子を食べたんです。もし別のお客さんが来たらすぐ帰ろうって思って高速で食べたんです。店内もすごく感染症対策をされていました。席は離れてるし、僕がいる間は誰も来なかったんですけど入店制限もされてるようでした。

 餃子の王将に入る。こんな当り前のことさえも大げさに書けるほどの日常の中に今僕たちはいるんですね。書いてて気がつきました。信じらんない。すごい世界ですよね。

 話、戻しますね。

 たぶんひと月以上ぶりの外食でした。普通に料理できるし家で食べる方が安いし旨いんで、あまり外食はしない方なんですけど、それでも最近は家でステーキ焼いたり刺盛りつくったり、我慢できず攻め献立になってる自覚はあって。

 そんなおうちごはんとはまた違う炒飯と餃子。
 持ち帰りや出前とはちがう王将店内で食べる炒飯と餃子。

 涙が出るほどうまかった。実際に涙は出てませんけど、涙が出るのも忘れるくらいうまかった。そして思いました。僕たちは劇場で「王将店内で食べる炒飯と餃子」をつくってたんだって。

 僕がいま一番こわいもの。それは、もし終息しても「劇場こわい」ってなる人がいるんじゃないかってことです。うん。そんなこと思わない人もいるでしょう。けど、そんな風に思う人、お客さんだけじゃなく演劇に関わる人にだっているかもれない。そんなの、すっげぇイヤです。「もうコロナ大丈夫だよ」って言われても劇場こわいって思うなんて、あんなに好きだったのにすっげぇイヤじゃないですか。横に座る誰かのことなんて気にしてなかったけど、こないだまで横に座ってた演劇が好きな誰かが「もう劇場はイヤだ」ってなってもう劇場に来れないのはつらいじゃないっすか。

 話がとっ散らかってますけど、元の世界に戻れるようにできる限り家にいるけども、今は出前か持ち帰りで食べてもらえる餃子を出し続けるんで、みんなも「王将店内で食べる炒飯と餃子は最高だった」ってこと、忘れないようにいっぱい口に出してってほしいってことが言いたいんです。

 たくさん中止したり延期したりして忘れちゃいそうになるけど、今まで来てた人は普通にちゃんと劇場に戻りたいって思えるように、この期間はがんばりたい。そんで、今まで観たことない人がこの機会にネットを介して演劇を知ってもらって、また最高の劇場を一緒に作ってほしい。僕たちだけじゃできません。演劇ファンのみなさんとも一緒に手を取り合ってがんばっていきたい。みんなして一緒に生き残りたいです。

 「悪いけど、これからも芝居させてください支援」ってやつ、なんか大っぴろげてお願いするのはちがうと思って、スマートにお知らせしたいって思って、「一応やってます」って感じでお伝えしてましたけど、もうそんなこと言ってらんない感じになってます。すでに買ってくれた方々へ感謝の気持ちはいっぱいです。だけど、まだまだ思ったようにはいってない部分もあって、このままじゃ劇団どうなるかわからんぞってところにいまして、次の一手をなにか考えねばと思いあぐねる僕たちです。メンバー誰一人欠けず、悪い芝居として2021年2月、初めての本多劇場に健康に挑めるよう、どうか広めてください。情報を広めるでもDVD買って誰かにプレゼントするでもいいです。YouTubeは一旦26日で終わりますが、そこから先もなんか発信していきますので、悪いけど、これからも芝居させてください。

 劇場やライブハウスたちは一番最初に閉じました。そうなると、開くのは最後になるのでしょう。けれど、それって今度は、僕たちの大好きな場所が開くことが人類すべての希望になる気がしてならないです。ワクワクします。

 一日も早くその日が来ますように。
 また劇場で会いましょう。

2020年4月22日
悪い芝居 山崎彬


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