※6月1日追記。

「悪いけど、これからも芝居させてください支援」は5月31日をもって、終了いたしました。
たくさんのご支援ありがとうございました。

※4月22日追記。

4月に引き続き、月イチイベント「悪い芝居の5月もなんかおもろそう」は、延期する運びとなりました。楽しみにしてくださっていた皆さま、申し訳ありません。必ず、どこか別の月に開催します。続報をお待ちください。

山崎彬より東京公演初日をおえて

※4月10日、払い戻し等についての文章を加筆いたしました。

チケットの払い戻しについて  waruishibai.jp/tokimeki/haraimodoshi

悪いけど、これからも芝居させてください支援について  waruishibai.jp/tokimeki/goods (終了しました)

 この度、悪い芝居は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大防止への意志を強くもつ決意をいたしました。よって、4月5日に開催予定でした月イチイベント「悪い芝居の4月もなんかおもろそう」、並びに、4月16日~19日(大阪公演)、22日~26日(東京公演)に開催予定でした新作本公演『トキメキメイクライトアンリアル』「大阪もなんかおもろそう」全日程の上演を中止します。

 公演を楽しみにされていた皆さまには、深くお詫び申し上げます。
 また、直前のご案内になりましたことも、重ねてお詫びいたします。

 劇団としましては、イベント並びに本作品を同じ座組で上演できるよう、現在調整中です。開催時期につきましては、状況を見ながら判断し、追ってご連絡いたします。どのくらいお待たせしてしまうか分かりませんが、その日まで期待してお待ちいただけると幸いです。

 今回の決定を受けまして、すでにチケットをお買い求めいただいているすべての皆様へ、料金の払い戻しをいたします。払い戻し方法につきましてはこちらをご覧ください。

 また今公演、ならびに月イチイベント「悪い芝居の4月もなんかおもろそう」における損失に対して、「悪いけど、これからも芝居させてください支援」を設立しました。こちら、販売予定でした公演パンフレットのお求めや、過去のグッズのセット販売などを展開しています。詳しくはこちらをごらんください。

 新メンバーも入り、2020年はたくさんの機会を設けて皆さまにたのしんでいただこうと思っていた年でした。座組一同、そのたのしみを奪ってしまったことが何より残念で、申し訳なく思っています。ですので、悪い芝居として4月のイベント・本公演に代わるたのしみを考えました。そのことも含めまして、悪い芝居の山崎彬よりメッセージがございます。ぜひご一読ください。

 皆様にはご迷惑、お手数をお掛けいたしますが、どうぞご理解いただけますと幸いです。

2020年4月
悪い芝居


山崎彬より皆様へ

 2004年12月24日に産声を上げ、翌2005年3月に旗揚げ公演として悪い芝居vol.1『鈍い音』を上演してから15年。「今一番したいことをやる」を大切に悪い芝居を続けてきました。それは今も変わらず、劇団本公演は特に「今一番したいことをやる」という思いを強く持って挑んできました。
 そして今回、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大を受け、悪い芝居として「今一番したいこと」は4月に予定していたすべての公演、イベントの中止であるという結論に至りました。理由は「感染拡大防止の意志が強くなったこと」です。

 イベントの開催自粛要請や外出及び渡航の自粛要請なども踏まえての結論ではあるんですけれども、どちらかというと要請に従った自粛というよりは、感染拡大のおそれがある公演やイベントを、自分たちの意志で中止する決断をしました。どちらにせよ、やらないなら結果は一緒なんですが。
 たのしみにしてくれていた皆さんには大変申し訳なく思っています。また、「どうなるんだろう」「たぶん難しいだろうな」「応援するからやるならやると言ってくれ」「中止にする決断をしてほしい」と、ここ数日いろんな思いをさせて不安にさせたこと、そして直前の発表になってしまったこと、とても申し訳なく思っています。

 あれは2月下旬のことでした。3月1日に控えた月イチイベント「悪い芝居の3月もなんかおもろそう」は、当時の自粛要請の対象となっていた大規模イベントにはあたらないと判断し、できうる限り万全の感染症対策をすることで開催しました。その節はみなさん、たくさんのご協力ありがとうございました。(コロナ関係なく、別の団体さんとの会場使用のダブルブッキング事件があったんですが、今思い出しても笑けます。)

 あれは3月16日のことでした。本公演『トキメキメイクライトアンリアル』の稽古がはじまりました。当然、稽古場でも「僕たちの公演の時には世界はどうなっているんだろう」という話題が出ました。けど、同じくらいクダラナイ話もしてました。たとえば、「世界中の人が毎日うんちをしているということは、毎日大量のうんちが世界に放たれるわけで、その毎日のうんちはどこにいくんだろう」みたいな話です。ほんとにしてました。なんかすみません。

 既にいくつかの公演で中止の知らせを見聞きしている頃でした。ですが、この時点では「とはいえ“自粛の要請”なんだから、自分たちで判断していいってことなんだから、対策をきちんとした上で公演はやる」と思ってました。「中止なんかしてたまるか」「待っててくれる人のためにやるんだ」というような決意に似た思いもあったかもしれません。
 だけどその決意の奥の奥に「ほんとにやっていいのか」という気持ちが、昨日より今日、今日より明日と強くなっていく実感もありました。確認したわけではないんですが、たぶん座組のみんなも同じような気持ちだったと思います。

 そして先日、3月28日土曜日、東京都から週末の外出自粛要請が出ました。元々29日の日曜日は稽古がお休みだったんですが、土曜日の稽古をどうしようかと、前日の金曜日に稽古場のみんなで話しました。「公演を健康に迎えるために休もう」という結論を出し「稽古を予定していた時間は台本読んだりYouTube見たりゲームしたり寝たりして、本番のために過ごしてください」とだけ伝え、休みにしました。

 土曜日と日曜日、自宅で過ごしました。
 自宅で過ごしていると色々考えますよね。

 「補償がないなか、公演中止にして大丈夫だろうか」
 「もし自分たちの公演で集団感染が起こったら、どうなってしまうだろう」
 「お客さんの安全のために中止にした方がいいんじゃないだろうか」

 多分この日までは、お客さんの安全のこと、お金のことや感染が起こった場合の責任のことを考えてたんだと思うんです。でもふと思ったんです。いやいや、そんなことよりも、自分と自分の身近な大切な人はどうなんだ、と。

 埼玉や神奈川から毎日東京の稽古場に通う出演者もいる。関西からこちらに滞在して稽古に励む出演者もいる。まだ10代のメンバーもいる。僕たちが移動して集まって家に帰る。家には家族や大切な人がいる。現状、僕が「やる」と言えばみんなやるしかない以上、「悪い方向に考えるのはよくない」と無意識に蓋をしていたんだと思います。休みのおかげでぽかりとできた時間にその蓋が開いて思い出したんです。一番考えなきゃいけないことを。
 そしてこの自分たちと大切な人を守ることは、大切なお客さんや演劇を守ることにつながると僕は思いました。そして、このまま開催の可能性を祈りながら稽古をし続けることが、僕らが今一番したいことではないと思ったんです。

 29日日曜日の22時ごろでしょうか。悪い芝居メンバーみんなでラインのグループ通話で話しました。新メンバーの初めての本公演で、彼ら彼女らには本当に残念な思いをさせちゃうんですけど、このグループ通話で「たのしいはずの大好きな劇場で、感染の拡大をさせたくない思い」「だから、公演は中止すること」「だけど、どこかでこの作品はやりたいのでいつか上演は絶対にすること」「お金のことはこれから考えようということ」「まずは命が大切だ」といった話をメンバーとしました。みんな、同じような思いでした。(余談ですけど、絶対集まった方が早いって議論があるとき以外の劇団ミーティングは、この先永遠にラインのグループ通話でいいんじゃんって思いました。うん。悪い芝居は人数が多くて大変なんですよ、全員集めるの。集まっても喫茶店じゃ席ないし、ちょうどいい会議室もないし(笑))

 翌30日月曜日、客演の皆さん、スタッフの皆さん、関係者の皆さんにその旨を伝えました。この決断が正しかったんだと、後から言えるようにまた元気に会いましょうと話し、その日をもって作品製作は一時中断となりました。翌火曜日から、中止および延期の方向で調整に入りました。

 本作『トキメキメイクライトアンリアル』は、ヘンリー・ダーガーの生涯をモチーフに描かれた演劇です。彼は孤高のアウトサイダーアーティストと呼ばれ、約60年ものあいだ、誰にも見せることなく自分の作品を作りつづけた芸術家です。死後、彼の部屋から膨大な量の物語と絵がみつかりました。
 僕はバカなので、この作品が今誰にも観られることのない演劇になったことに運命とか因果を感じてしまいます。だからきっと、中断と延期はこの作品にとって信じられないほどの栄養となると思います。さらにブラッシュアップして皆さんの元に届けるので、それまでどうか、みなさんもご自身と大切な人の未来を守るため、無理はせず、ちゃんと手を洗って、首長くして、どうか元気に待っていてほしいです。

 開催を本当に楽しみにしてくれてた方もいると思います。納得できない方もいるかもしれません。だけど、物語や演出だけでなく劇場空間全体やそこで流れる時間、それだけじゃない、劇場の外での時間も含めて悪い芝居の作品だと僕は思ってます。ですから、たとえ感染症対策を万全にして誰一人感染者が出なかったとしても、作品とは関係のない特別な思いを持って観劇してもらうことや、感染への不安を持ちながら観てもらうことは、作品にとって望ましい形じゃないです。極端な言いかただけど、手も洗わずうがいもせず、せき込んだ人がいても「今いいところだったのに!」と思うくらいで何の動揺もなく観てもらいたいんです。今までがそうだったように、きっとそんな日がまた戻ってきます。ですのでどうかその日のために、今回の決断をお許しください。今回はちょっと、劇場の外での演出を失敗してしまいました。コロナのバカ。

 でもね、ホント残念でならないんですよ。何が残念でお詫びしたいかっていうとね、4月は存分にたのしませるって約束したのにそれを裏切ったことなんですよ。だからね、知恵を振り絞って考えました。

 明日から東京公演千穐楽を予定していた26日まで、毎日19時にYouTubeで動画を配信します。実は、今公演の中止が決定して稽古場を解散した二日後の4月1日、この日だけみんなで集まってすべての動画の撮影を終えました。客演の多田くん、野口くん、大江くんももちろん出演します。めちゃくちゃたのしんでもらえる動画になってると思います。
 たとえば5日のイベントを予定してた日は、その日に上演する予定だった悪い芝居vol.6『岩乙女!』のリーディング音源を予定していたキャストで全編アップします。
 他には、今無料公開してる過去作品の紹介や、悪い芝居の曲を太郎くんが弾き語りしたり、延期した『トキメキメイクライトアンリアル』についての回ももちろんあります。新メンバー×ゲストの対談や、スタッフさん全面協力の元、エア仕込みと題して舞台美術や衣装のデザインなんかも見てもらって僕と演出助手の藤嶋さんを中心に演出プランを語ったり。あとはね、なんと本編のいくつかのシーンをリーディングします。エア本番です。

 この作品はいつか必ず上演されます。ま、そのときにはもっとパワーアップしてるのでネタバレしたって大丈夫。というか「こういうアプローチの作品があってもいいじゃない?」と今は思ってます。少し落ち込んでいたので、撮影の日はみんな本当にたのしそうでした。僕たちもどんな動画になっているのかワクワクしています。今、YouTuberでもあるメンバーの潮さんと制作の阿部さんがバリバリ編集してくれてます。ひとまずはマスク二枚が届くころでしょうか、4月の26日までになっちゃいますが、明日から皆さんを毎日たのしませるので、一緒にたのしみましょね。味をしめたらまたやります。いっぱい見てください。

 最後になりましたが、今回の感染症でお亡くなりになった方のご冥福をお祈りするとともに、現在も闘病されている方々の回復を心から願っています。

2020年4月3日 すべての皆さまへの感謝を込めて
悪い芝居 山崎彬